告知というスイッチ

膵臓癌と告知されたとき、残りの余命一年どうすればいいのかと考えた。

しかしながら、時間が経つにつれ、

どうしようもない

なるようにしかならない

という想いに心が満たされてしまった。

先日、音楽家坂本龍一氏の癌に侵された晩年をテレビで見た。私の見方ではあるが、癌に罹患の結果、音楽制作への意欲はさらに高まり、環境保護に対する活動も活発化したように思う。告知というスイッチが坂本氏に何かの作用を与えていたのだろうか。

映画では、黒澤明監督の「生きる」

役所勤めの主人公が、癌であることを自覚して、残りの人生を市民の為に奔走する。

自分の余命を自覚することにより、人間としての本当の生き方に目覚めるといった映画であった。

現実は世界的な音楽家や映画のようにはいかない。

それとも私のような怠惰で無能な人間でも、告知というスイッチを修理すれば何かをきっかけに人間性は変わるのであろうか?